
近年、電子ピアノの人気が高まっています。この20年ほどで、電子ピアノの販売台数は普通のピアノと逆転しました。
米業界誌の調査などでは、米国は04年、日本は1991年に販売台数で逆転した。世界最大のピアノ市場となった中国もすでに電子ピアノ市場は年15万台規模まで成長。
出典: globe.asahi.com
これほどまでに販売が伸びたのは、電子ピアノが以下の長所を持っているからです。
- 価格が安いこと
- 狭いスペースでも設置できること
- ヘッドフォンを用いた夜間練習が可能なこと
また、各メーカーが改良を続けた結果、次々と高性能なモデルが発売されていることも、電子ピアノがシェアを伸ばしている大きな要因です。
最近の電子ピアノは、グランドピアノに近い鍵盤タッチの表現や、音を出すことができるようになっています。
そこで、電子ピアノの購入を考える方向けに、10万円台で買える88鍵盤の安いおすすめ電子ピアノを紹介します。
電子ピアノとは

電子ピアノは、収録されている電子音源を鳴らすことのできるピアノ型の楽器です。「デジタルピアノ」とも呼ばれます。
鍵盤を押すと、内蔵されている電子回路から音を再生する仕組みになっています。そのため、コンピュータの技術が進化するとともに、電子ピアノの性能も向上してきました。
電子ピアノとピアノの音質を比較

電子ピアノと普通のピアノは、音を出す仕組み自体が大きく異なります。
ピアノと電子ピアノの一番の違いは発音形式です。
生のピアノは、指先で鍵盤を押し、その力でハンマーを動かし、弦を叩いて音を出します。打弦による振動が響板を伝わって、豊かな広がりを生むと共に、叩いた弦以外の弦の共鳴も加わって、独特の響きを生み出します。
一方、電子ピアノには弦が存在しません。鍵盤はいわば音を出すためのスイッチで、打鍵を感知し電子音源を発音させ、スピーカーを使って増幅しています。出典: jp.yamaha.com
普通のピアノが中にある弦を叩いて音を出すのに対し、電子ピアノは収録されているデジタル音源を再生する、というのが最大の違いです。
そのため、電子ピアノの音質は収録されている音源と、スピーカーなどのオーディオの質に左右されます。良い音源とオーディオを内蔵しているモデルほど、音質も良く、実際のピアノに近い音を出すことができます。
電子ピアノの販売相場

各メーカーが販売している一番安いモデルと高いモデルの価格を挙げ、相場価格を紹介します。
<メーカーごとの電子ピアノ販売相場>
- ローランドの相場価格: 65,000 ~ 1,700,000円
- ヤマハの相場価格: 30,000 ~ 650,000円
- カワイの相場価格: 100,000 ~ 300,000円
- カシオの相場価格: 38,000 ~ 390,000円
- コルグの相場価格: 12,000 ~ 120,000円
※2016年9月現在の、価格.comの電子ピアノ販売リストから情報を掲載しています。
メーカー別で見ると、カシオとコルグは価格が数万円台の安い電子ピアノを中心に販売をしています。
ヤマハとローランドは、安いモデルから50万円以上の高級モデルまで、幅広い価格のラインナップを揃えています。
カワイは15万円~30万円の木製鍵盤モデルを中心に販売をしており、10万円以下の電子ピアノは現在生産していません。
10万円台の電子ピアノがおすすめの理由

価格が10万円台の電子ピアノをおすすめする理由は、以下の点によります。
- 高い発音構造を持ち演奏性に優れること
- 鍵盤のタッチが本物のピアノに近いこと
まず、高い発音構造を持っているため、演奏性に優れていることが挙げられます。
10万円台の電子ピアノは、音源やオーディオといった発音構造が、一定以上の質を持っています。そのため、演奏者が満足のいく音色で演奏することができます。
次に、鍵盤のタッチについてです。10万円台の電子ピアノには、2~3つの高精細センサーが備わっているので、鍵盤を弾くときの強弱や、細かなニュアンスを表現しやすくなっています。
また、弾き心地についても、物のピアノに近づけるための様々な機能が搭載されています。
例として、カシオの「3センサースケーリングハンマーアクション」を見てみましょう。
グランドピアノとデジタルピアノの発音構造の違いは、弾いてから発音するまでのタイミングの違いとして表れます。
そこで「3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II」では、3つのセンサーが順番に打鍵を感知するシステムを採用。これにより、打鍵の検出から発音までの時間を打鍵の速さに応じてきめ細かく変化させることが可能になりました。
また、このセンサー方式は鍵盤を戻しきらなくても連続して発音可能なため、優れた同音連打の演奏性も発揮します。
もちろん、グランドピアノのようにハンマーの自重によるアクション機構で、確かな弾き応えとスムーズなタッチ感を両立。低音域ほど重く、高音域ほど軽くなるグランドピアノの特性もしっかりシミュレートしています。出典: casio.jp
電子ピアノと本物のピアノでは、鍵盤を押してから音が出るまでの時間間隔が異なります。この間隔をより本物のピアノに近づけるための機能です。
また、鍵盤の重さと、鍵盤が戻りきらない状態で再度押すことができる「連打性能」についても、再現がされています。
では、次に具体的な電子ピアノの選び方について触れていきます。
電子ピアノの選び方

電子ピアノを選ぶときのポイントは以下の3点です。
- 鍵盤
- 音源
- オーディオ
それぞれのポイントを詳しく紹介していきます。
鍵盤
鍵盤のタッチは、実際に演奏する人の好みが大きく分かれます。各メーカーが実際のピアノに近づけようと様々な機能を搭載していますが、実際の演奏者が気に入ることが最も重要です。
そのため、購入前に店頭などで試弾することをおすすめします。
鍵盤の素材についても同様です。一般的には木製の鍵盤の上にアクリルが張られていますが、機種によっては象牙調になっているものもあります。
音源
電子ピアノには、本物のピアノの音をサンプリング(録音)した「PCM音源」が内蔵されています。このPCM音源の良し悪しが、音色の質に大きく影響します。
ヤマハやカワイは、自社製のグランドピアノなどから音源をサンプリング(録音)して収録しています。ローランド・カシオ・コルグは、世界的に有名なグランドピアノの音をサンプリングして収録しています。
オーディオ
電子ピアノのオーディオは、主に内蔵されているアンプ(音の増幅装置)とスピーカー(音を出す装置)の2つで構成されます。
スピーカーは、演奏を聴かせるだけでなく、演奏者が自分の音を体感するという点においても重要です。そのため、質の良いスピーカーや、その数にもこだわって、電子ピアノを選ぶことが大切です。
それでは、数ある電子ピアノの中から、10万円台のおすすめモデルを6機種ご紹介します!
ローランド:RP401

中古相場 : 70,000円
RP401の評判
近所の量販店で、カシオやヤマハなども含めて、同じような価格帯のものを弾き比べてみたところ、鍵盤のタッチが、カシオやヤマハは軽く感じましたが、ローランドのこの機種は他のものよりも少し重めで、キーの抵抗や戻りなどが、今通っているピアノ教室のピアノのキータッチに近く、これなら娘の練習に最適だと思いました。
ヤマハ アリウス:ARIUS YDP-162

中古相場 : 50,000円
ARIUS YDP-162の評判
YAMAHAのYDP-162は音色で選ぶのでしたら候補に入れてほしい電子ピアノです。デジタルっぽく変に分離することもなく、生ピアノに近い深み・丸さ・伸びの感じられるサウンドです。 生ピアノを弾いたときに音色に違和感を感じずに、比較的スムーズに入れることだと思います。
また鍵盤がツルツルのプラスチックではなく象牙調仕上げなので、滑ったりすることが少ないのも嬉しいポイントです。鍵盤をしっかりと叩くことができますので、ストレスを感じずに弾くことが出来るでしょう。
ヤマハ クラビノーバ:Clavinova CLP-535

中古相場 : 120,000円
Clavinova CLP-535の評判
電子ピアノは、本物のピアノの音をサンプリング(録音)した音を再生しています。その元となったピアノの音が、ものすごーく良いです!
音が良い理由のもう一つは、スピーカーです。「中高域専用のスピーカー」がプラスされているそうで、確かに音の聞こえ方がリアルなのですよね。音が良ければ弾いていて楽しい→練習するモチベーションも上がるので、音の良い電子ピアノはおすすめです☆出典: tori-ismart.net
カワイ:CN25

出典:www.kawai.jp
中古相場 : 80,000円
CN25の評判
他メーカーでは上位機種に採用されている「棚受柱(たなうけばしら)」と呼ぶ脚部を搭載しています。電子ピアノとしては非常にスリムな奥行き40cmのボディサイズを実現したCN25ですが、この「棚受柱(たなうけばしら)」のおかげでアップライトピアノのような上質な風格も備えています。
また肝心の鍵盤と音源も抜かりはありません。樹脂の鍵盤ではありますが、88鍵すべてに鍵盤ウェイトを搭載し、木製鍵盤に近いタッチを実現したRH lllI鍵盤。鍵盤追従性やコントロール性も高く、繊細な演奏表現が可能です。
コルグ:LP-380

中古相場 : 38,000円
LP-380の評判
LP-380の特徴としては鍵盤の重さが生ピアノのようにしっかりとあることです。電子ピアノのタッチが生ピアノと違うと、「電子ピアノしか弾けない」練習になってしまいます。比較的安価にもかかわらず、リアルなタッチはLP-380の売りだとも思います。
カシオ:CELVIANO AP-460

出典:casio.jp
中古相場 : 50,000円
LP-380の評判
10万円ぐらいの価格でありながら、鍵盤のタッチ「3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ」を搭載しており、鍵盤のタッチのフィーリングは良いです(上位機種のAP-700BKと同じが採用されています)。 音や質感はお値段相応ですが、同メーカーのPX-760MやPX-860Mより良いと思います。
まとめ
10万円台の電子ピアノには、以下の機能が搭載されています。
- 質の良い発音構造
- 2点から3点の高精細センサー
- 本物のピアノの鍵盤タッチを再現する機能
これらの機能により、本物のピアノに近い演奏を楽しむことができます。
今回は6機種を紹介しましたが、購入に迷ったらヤマハ・クラビノーバのCLP-535を特におすすめします。トップメーカーであるヤマハの電子ピアノなので、故障した際に修理対応をしてもらいやすいという利点があるからです。修理ご相談センターも全国に展開しています。